マャンマー::パテイン行きのバス

時期:2002年3月

パテイン行きのバスはヤンゴンの外れにあるバスターミナルから毎日2,3本出ているという事なので、朝一番のバスに乗ろう思い早起きして宿を出ました。パテインはヤンゴンから4時間程北上した所にある川沿いの小さな町です。

パテイン行きのバスが来る予定の場所でミカン箱みたいのに座ってしばらく待っていたんだけど、出発の5分前になっても明らかにパテイン行きではないバスがその場所に停車しているので、少し不安になって近くのおじさんに話しかけて見ました。身振り手振りで「これパテイン行きのバスじゃないですよね?」と聞いたつもりだったのですけど、どうも「パテイン」の発音が悪いみたいで全然伝わりません。「パッテイン」とか「パセイーーン」とか色々試してもダメだったので、紙に「Pathein」って書いたんですけど、おじさんは「うーーん」とか言って首を振るだけで、何も言ってくれません。試しに日本語で話しかけてみたんだけど、相変わらず「うーーん」って首を振ってました。

それまでは周りにいるビルマ人達は88マンにまったく興味を示して無かったのですけど、88マンがおじさんと一方的な会話を始めると、いつの間にか88マンとそのおじさんの周りに人だかりができてました。その中で勇気のありそうなおばさんが、たどたどしい英語で「どこに行きたいの?」みたいな感じで話しかけてきました。おばさんが何か一言言う度に、周りの人達は「おーーっ」とか言って大喜びです。

そうこうしているうちにパテイン行きのバスが来て、無事にバスに乗ることにできました。バスに乗るとさっきおばさんの隣で88マンの事をニコニコしながら見ていた少年が5列位前に座っていて、飽きもせず88マンの事をニコニコしながら見てました。まあ88マンも普通にニコニコしてたので、二人でニコニコ合戦が始まりました。アホみたいにニコニコ合戦を続けていると、突然その少年はビニール袋に入っている細長い野菜スティック状になっているキュウリの漬物みたいのを取り出して、後ろの席の人に何か一言言って渡しました。すると、そのキュウリの漬物みたいのが88マンの所まで次々とリレーされて送られてきました。

バスの他の乗客にも思いっきり注目されながら、そのキュウリの漬物みたいのをパクって食べると、ズキューンって来ちゃいました。もう背筋が凍るほどの別格のマズサです。これはヤバイと思って適当に丸呑みしようと思って口に全部入れたのですけど、そのキュウリみたいのはキュウリじゃなくて、なんだか繊維たっぷりの物体で全然噛み切れなかったのです。吐きそうになりながらどうにか食べきった時には、もう首の後ろとアゴが痛くなってました。食べ終わって前を見ると、信じられないことにまた同じ物体がリレーされて来ました。もう一本は絶対無理と思って10分位その緑色物体を手に持ったまま固まってたのですけど、周りの人達も少年も注目してるので、決心をつけ半べそかきながらどうにか2本目も食べ終えました。もちろん食べ終わる直前に少年に向けて必死に「もうお腹一杯」アピールをしたので、3本目は送られてきませんでした。

結局何の食べ物か分からなかったのですけど、細長く切った渋ひょうたんをガチョウのオシッコに1日漬けると、かなり近い味になると思います。今思うと、あれって噛み切るのではなくて2,3時間かけてチューチューしゃぶる食べ物だったのかもしれません。